以下、「世界と国連が行くべき道」と題して、ニューヨーク国連本部で行われた講演(2000/08/18)を中心に載せています。
私は、宗教指導者たちの道徳的ビジョンと模範となる生活が、天上世界、すなわち「あの世」にだけ向かうのではなく「この世」で真の幸福と永続する和平の道を教育しながら、世の中の光にならなければならないと確信します。
宗教指導者たちは、もっている偉大な伝統と、神聖で貴重な知恵を相続し伝承するだけでなく、私心のない奉仕生活をする理想的な指導者にならなければなりません。宗教指導者であれ、政治指導者であれ、そうなれない最も大きな理由は利己主義です。(平和経1389ページ)
宗教指導者たちは、もっている偉大な伝統と、神聖で貴重な知恵を相続し伝承するだけでなく、私心のない奉仕生活をする理想的な指導者にならなければなりません。宗教指導者であれ、政治指導者であれ、そうなれない最も大きな理由は利己主義です。(平和経1389ページ)
現代において宗教的な理想実現のための活動は、しばしば世俗権力と一定の距離を置いて行われてきました。今日の一般的な認識は、これを当然のものとして受け入れています。しかし、世界平和の理想に貢献する国際組織は、世界の偉大な宗教的伝統と自分たちとの関係を再検討すべき時になったと思います。
いかなる国際機関よりも、国際連合が良い例になるでしょう。多くの人々は、国連は世界平和のための人類の理想が制度化された組織であると思っており、これに期待をかけています。国連には、世界の問題を解決し、平和と人類繁栄を促進するために、共に働く、あらゆる国の代表者たちが集まっています。
しかし、国連で国家の代表者達が世界平和を実現しようとする努力には、相当な障害を抱いています。国連を通じて得た実績と成果を否定してもいけないのですが、国連自体が改善されるべき点も多いと思われます。世界の政治家と宗教指導者が国連を中心として、互いに協力し、尊重する関係が切実に必要とされる時になりました。
(平和経1387ページ)
国際連合を中心として百八十二の国々(当時)は、自国の利益だけを考えるのであって、世界平和のことは考えません。互いが利用して、自分の国だけが豊かに暮らそうとしてはいけないのです。政治圏と宗教圏を中心とした心身紛争の歴史が世界的に終息し、闘っていた無神論と有神論を一つの代表機構で収拾しなければなりません。国連で収拾しなければならないというのです。ですから宗教国連が出てこなければなりません。
人は体と心の二つでできているので、心を中心とした宗教国連のようなものが必要です。肉身を中心としたものは、政治国連です。数多くの国を中心として、サタン圏内に基盤ができているのが政治国連です。
ここに対置できるものとして、心の国連のようなものが現れなければなりません。分かれた体と心を一つにしなければならないのです。 (真の父母経911ページ)
人間社会の諸般の問題は、根源的に、単なる政治的な問題ではないため、社会的、政治的解決だけでは常に不十分です。人間社会のほとんどは政治的に統治されていますが、その一方で、大部分の国家的、文化的アイデンティティーの根底には宗教があります。実際、殆どの人々は、その心の中に、宗教的な忠節のほうが政治的な忠誠よりもはるかに重要であるという認識をもっています。(平和経1393ページ)
体と外的な世界を代表する政治家や外交家たちの経綸と実践だけでなく、心と内的な世界を代表する超宗教指導者たちの知恵と努力が合わさってこそ、平和世界が完全に達成されるのです。そのような点から、国連を再構成する問題まで深刻に考慮すべき時です。両院性の形態をもった国連を考慮することもできるでしょう。
国家の代表たちで構成された既存の国連を、各国家の利益を代弁する下院と考えることができます。一方、著名な宗教指導者など、精神世界の指導者たちで、宗教議会、あるいは国連の上院を構成することを、深刻に考慮していただくことをお願いします。このとき、超宗派的な宗教議会は、地域的な個々の国家の利害を越えて、地球星と人類全体の利益を代弁しなければなりません。
そして両院が相互に尊重し協力し合うことによって、平和世界の実現に大きく寄与できるはずです。世界の指導者たちの政治的な経綸は、世界の偉大な超宗教指導者たちの知恵とビジョンにより効果的に補完できるでしょう。(平和経1393ページ)
私は、既に二年前の1998年12月に、「対話を超えて実践に向かう超宗教的理想の実現」という主題で開催された国際会議の席上で、世界の宗教指導者たちが集まる中、「世界平和基金」の創設を提案したことがあります。
・・・・(中略)・・・・
国連は、宗教者だけでなく、すべての国々に対して、毎年、自発的に平和基金を納付するように指導できるでしょう。富裕な博愛主義者や経済界の指導者、企業人をはじめとして、各界各層の指導者や団体、そして個人たちも、国連平和地区の建設に積極的に加担し、世界的な平和ムードの造成と募金運動をする上で、先頭に立たなければなりません。
私は、国連の上院の使命を果たす超宗教的な宗教議会の基盤とするために、「世界平和超宗教超国家連合」を創設しました。各国家から超宗教的な大使が、既存の大使と共に国連に派遣され、宗教議会、すなわち国連の上院を構成するのです。
超宗教的な理解と修練や、超国家的な平和理想を指導すべき国連の上院議員たちが担当する任務は、狭い視野で特定の国家の利益のみを代弁しようとすることとは正反対になるのです。彼らは、絶対者である神様のみ旨に従って、世界と人類全体の平和理想のための任務を遂行するようになるのです。(平和経1396ページ)